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物語 - 戦後渡米者関 07 - あなたはアメリカ人になるの? |
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あなたはアメリカ人になるの? (「吉田ルイ子のアメリカ」 プロローグより) 六〇年代のはじめ、フルブライト留学生として私がはじめてアメリカの土を踏んだとき、入国登録と称する一枚の紙に、姓名や年齢を書く際、髪、瞳-青、茶、緑。肌-白、茶、黄、黒。 自分の該当する色をマルでかこむのだった。書かせる側としては、入国者の特徴をつかむために筆記させるのだろうが、これらの質問にぶっつかった時、日本にいる時ついぞ自分の髪や瞳や肌の色を意識したり他人と比べたりしたことがなく、アメリカ人といえば、ブロンドに青い瞳で白い肌という概念があった当時の私は、「アメリカへ来てしまったのだな」という異国人コンプレックスをかくすことができなかった。 アメリカ人はパーティが好きだ。その後アメリカに住むようになって、パーティに招かれると、つねにアメリカ人が好んでする質問が五つあることに気がついた。 (1)名前は? (2)どこからきたの(国をさす)? (3)宗教は? (4)いつアメリカにきたの? そして一年以上アメリカにいるというと、きまって五つ目に次のよう な質問をするのだった。 (5)あなたはアメリカ人になるの? 最初、この五つ目の質問の意味が理解できなかったが、やがてわかってきた。アメリカという国は、アメリカ人に生まれるのではなくて、世界各地方からやってきてアメリカ人になる人々によってつくられている国であることが。 おそらく、日本では日本に外国人が何年住んでいても、日本人はこのような質問はしないだろう。アメリカは今も移民の国、難民の国なのだ。
「吉田ルイ子のアメリカ」 吉田ルイ子 |
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注 |
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一世パイオニア資料館 - isseipioneermuseum.com - 2013 |