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物語 - 一世関係 53 - 須らく海外に飛躍すべし - 松永安左衛門 |
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須らく海外に飛躍すべし 東邦電力副社長 松永安左衛門
一口に青年諸君と言っても、特殊な技術家とか技能才能を具えている人は別だが、一般の青年に向かって申したいことがある。 まづ諸君には欧米の青年を見てもらいたい。そして彼らの海外発展振りを学んでいただきたい。英国の青年は南アフリカに出稼ぎすることを隣家へお茶をよばれる位に心得ている。その他の各国の青年も皆かくの如しで、海を越えることを河とも思わぬ。然るに、日本の青年は、徳川三百年の鎖国政策の慣習のためか、一般社会が実に海外に出ることを不精にしている。近い例が、君が満州に行くとしたまへ。諸君の父母は必ず、「満州にまで出かけて・・・・」と時代おくれな嘆を発する。 然し只だ行くんではない。海外へ出たら、無論働くのだ。出稼ぎと言ふと聞こえが悪く思ふかも知れぬが、大学を出てブックキーパーにおさまるのも同じ労働ではないか。我々を歓迎している南米、南洋、シャム、印度支那などひろい天地に於いて国際労働戦線に飛び出したら、一層意義があるのではないか。我国の青年諸君も修学旅行に出かけるくらいの気持ちで、海外に一度出かけて彼の地を見て、その上でとくと考え、見込みを付けて労働を始めればよい。 海外発展に越した国策が開国日本にないくらいのことは、諸君もよくご存知であろう。海国の青年が、海に出、海を越えることを嫌うような不精では情けない。海にしろ、陸にしろ、同じものと心得ねばならぬ。資金とか旅費とか位のものは、諸君が根本精神を立てて方法を構ずれば、必ずどうにかなるものだ。 私がこう云っても尚、外国という言葉にオジケを持つような青年は、北海道でも樺太でも行って見給え。そこにも、働き甲斐は随分見出される。。 私は過去というものは、前向きのためのものでない限り、嫌いである。「青年は明日を想い、老人は過去を憶(おも)う」とすれば、私はいつも青年のつもりでいる。 月刊雑誌 実業乃世界 昭和三年五月1928 二十一周年記念特別号より 松永安左衛門 昭和初期の財界の有力者 海国日本の青年はせまい日本から外国へ出て羽ばたけと叫んでいる。1924年に発効の排日移民法といわれる新移民法のためにアメリカには行けないが、門戸の開けていた朝鮮、満州、中国、ブラジルに行けと呼びかけている。 www.isseipioneermuseum.com 過去現在因果経 The present is the result of what I have done, and the future is the product of the present.
一世パイオニア資料館
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