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物語 - 一世関係 45 - 日本人社会の変化・永住の風潮 河村幽川 |
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日本人社会の変化・永住の風潮 1927年(昭和2年) 河村幽川
転々として回転する地球に生存しながらそれに気づかぬように、我々は時の移りと共に転々と推移する世相の変化に迂闊(うかつ)である。賭博撲滅運動の先駆者として奮闘するさなか、スタックトンのホテルに於いて竹葉氏が凶弾に倒れてから、もう七年が過ぎた。早いものだ。 この間に時代はすっかり変わって、その当時の同胞社会を上を下への大混乱を演じた賭博撲滅運動も、今はその必要もなくなった。何処の支那町も同じと思うが、近来日本人の所謂お得意先は年々なくなって、先方の手先となって馬鹿票(バカッペ)を売っていた寄生虫も、いつのまにか人間の仲間に入ってきた。バクチ場の前には、近来すっかり日本人の影が消えて、森閑としている戸口にシンサン(中国人)が長い煙管をくわへて立っている。 日本への帰国心理にも、大きな変化が起きている。過去においては、日本に帰って住みたいという欲望からの恒久的帰国であったが、近来は子供のためにアメリカを住家と決めて、日本行きも短期間にちょっと日本を訪問して来るというように変わってきた。また、最近は今までの子女の教育のための日本送りもすっかり少なくなった。 河村幽川著 「排日戦線を突破して」1927年出版 より抜粋 カリフォルニア・アイルトン住
一世パイオニア資料館
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